第11話

レンタルスクーターの店は 屋久島環境文化村センターと宿との調度中間にあり場所は既に確認済みだった

2500円を支払い僕は愛車
「 サイクロン号 」を手に入れる。

     

これで 島の中で悪の秘密結社に襲われても太刀打ちできそう。

もしも 悪の秘密結社が怪人を送りこんできたとしたら やはり 
「 恐怖 屋久杉男 」となるんだろうか?

この怪人は弱そうだ(笑)  そんなくだらないことを考えながら島の海岸線沿いに延びる主要幹線道路をひた走った



ぶおおおん  ぶおおおん   
( サイクロン号 のエンジンがうなる )



天気の良い日に 美しい海岸線を横目にしながらバイクを走らせる

    

暖かく優しい風が 僕の頬をなぜた。

20分ほどのツーリングの後に「 屋久杉ランド 」はこっちです みたいな看板を発見。

ここからは徐々に 山道を登って行くことになるらしい。


えんやこら なんやこら
 よっこらしょ  どっこいしょ


僕を乗せた サイクロン号は どんどんと山道を駆け上がって行く。

屋久杉ランドまでは 順調なペースと思われた

しかし、 ある峠道のカーブを抜けた まさにその瞬間!!


僕の体に旋律が走った!!


悪の秘密結社の 襲来だぁぁぁぁ!!


実際は 屋久猿 という この島特有の生態系をもった日本猿の群れがそこにいただけなんだけどね。


しかし、「 な〜んだ 
たかが猿じゃん 」などど考えてはいけないのだ。

猿は立派な猛獣です 中には気性の荒い奴もいるし みなさんだって 時々はテレビのニュースで 猿が 人を襲ったとか 噛んだ 引っかかれた など聞いたことあるはずです。

   


ですから 猿20頭くらいの群れの ど真ん中をTシャツ 半ズボン という いでたちの 僕がとおりすぎることは非常に やばいことなんです。

地元の人からは 
「猿は人を襲わないよ」と聞いていたがあまり信用ならない。

用心するにこしたことはなかろう。

僕は 第1級戦闘態勢のまま 彼らの中を通過する。

僕の胸が高鳴る・・・。

どきどき・・・・。


僕の心中をよそに 猿達は 暇そうな顔をして こちらを見ている。

ブルルルルルン


無事に通り抜けた

一つの危機を回避しほっと一息。

しかし、その後も 猿のウンチが 所々に落ちていて未だに彼らのテリトリー内に居る事を感じさせる

猿のテリトリー内にいても これだけ ドキドキするんだから映画ジュラッシックパークみたいに肉食恐竜のテリトリーに 立たされたらどうなっちゃうんだろう。

おしっこ ちびるどころではないな。


まだまだ気を抜くわけにはいかない。

慎重にアクセルをひねり 僕は先を急いだ


心配は不幸にも的中してしまった。

何度目かの猿の群れを通り過ぎるときに1頭の猿と目があった。

奴の目は挑戦的で 明らかに僕を挑発している。

        


僕は ゴルゴ13ばりの 鋭い目線で応戦した!!
『 人間様と やり合おうってのか この この!! 』


これが 良くなかった・・・。

奴の闘争本能に  
ボッ! と火をつけてしまったらしい。

「 うききききぃぃぃぃぃぃ !!  (ちょっと待てこら!!)」

うわー やべー !!


このままでは テレビ番組『ニュースステーション』 の久米ひろし の読みあげるニュースの中、


「 え〜 次は 本日樹齢1000年を超える屋久杉で有名な
  屋久島というところでおきました、野生の日本猿による
  観光客ちゃきさん27歳襲撃噛殺事件の話題です 」


なんて 売名に繋がりかねない。

事態は急をようするのだ。

逃げるぜぃ!!



こういう時は、逃げるが勝ちです。

猿は 「 闘争本能 」
僕は 「 逃走本能 」をむき出しにして戦った。

結果は スクーターをダッシュで飛ばして逃げた僕の勝ち。

追いかけてくる猿の姿を バックミラーに確認しながら

その場を離れることに成功した

これで 久米ひろし の世話にならずにすむぜ。


つづく
  


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